前回確認したように、『(~する)ことに』は「意識や注意」が向け
られていることを意味する動詞(句)と共に用いられて、その「意
識や注意」が向けられる対象を表現するのに用いられます。
それに対して、『(~し)に』は、(5)、(6)のように『行く』、『来る』
と用いられる頻度が圧倒的に高いようです。『行く』、『来る』は、
「到着点を前提とする移動」を表す典型的な動詞です。『出掛ける』、
『訪ねる』、『訪れる』、『訪問する』のように同じ条件を満たす動詞
なら同様に用いることが出来ます。
(5) 試合を見に東京ドームに行く。
(6) 試合のチケットを買いに来た。
それに対して、『着く』、『到着する』、『たどり着く』、『降り立つ』、
のように「到着点」を前提としても「移動」が含まれなかったり、
『歩く』、『走る』、『飛ぶ』、『泳ぐ』のように「移動」を意味しても
「到着点」が前提となっていない動詞は用いることが困難です。
(11) 試合を見に東京ドームに出掛けた。
(12) 試合のチケットを買いに訪れた。
「『(~する)ことに』、『(~し)に』(1)」の回では、(4)が用いら
れないことを見ました。それは、ここで確認したように『(~し)
に』が「到着点を前提とする移動」の「目的」となる内容を表すこ
とに反して、 (4)の主動詞『(席を)取る』がこの意味・機能的な
条件を満たさないからだということが分かります。この目的と看做
される出来事にも制限があるようです。
(4) その試合を見に良い席を取りたかった。
2009年12月10日木曜日
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