前回までの2回で、『(~する)のに』、『(~する)ために』という
動詞的な要素に『に』が後続する二つの表現を扱いました。これら
は、主節の動詞が表す出来事よりも通常は時間的に後に生じる出来
事を表現し、「目的」に相当するものでした。
今度は、『(~する)ことに』、『(~し)に』を扱ってみましょう。
動詞的な要素に『に』が後続する表現という点で、形式的には極め
て類似していますが、意味や機能は随分違うようです。その違いは、
先ず何よりも、(1)、(2)の『(~する)のに』、『(~する)ために』
を『(~する)ことに』、『(~し)に』に置き換えると、(3)、(4)の
ように容認されない文になることから確認できます。
(3) その試合を見ることに良い席を取りたかった。
(4) その試合を見に良い席を取りたかった。
『(~する)ことに』は、そもそも「目的」を表現するのに用いる
ことが出来ないようです。それに対して、『(~し)に』は、(5)、(6)
のような用法があるため、「目的」を表すのに用いることが出来な
いわけではありません。さて、それでは『(~する)ことに』、『(~
し)に』の主な意味・機能は何でしょうか。
(5) 試合を見に東京ドームに行く。
(6) 試合のチケットを買いに来た。
2009年12月10日木曜日
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