)にお尋ねしてみました。すると、『かこつく』という下二段活用の動詞(先生方の辞典では『かくつけ』という連用形の形が見出し語です)は、「カコチツケの約」と書かれています。つまり、『かこつ』の連用形に『つく』(「付ける」の意味の下二段活用の動詞)が付いた『かこちつく』に由来し、それが音韻縮約で『かこつく』となったと説明されているのです。これは、kakoti-tuku > kakottuku > kakotukuのように、促音便と一般に呼ばれる現象が生じた結果と分析されているのではないかと思います。
この『つく』は、いわゆる「連体形が終止形を食う」現象(英語でも「与格が対格を食う」という現象が起こりました)で『付く』から『付くる』となり、「連用形の優位性」(これは琉球語で「連用形+uN(woriに相当)=終止形」を生じたのと同じ傾向ではないでしょうか)によって『付くる』は『付ける』になりました。その結果、『かこつく』の語形も平行して『かこつける』に変化していったのではないかと思います。
ここで無視出来ないのは、現代日本語で『かこつける』という言葉を用いる際、この『付ける』という要素を明示的ないし暗示的に話者たちが意識しているのではないかという点です。『なすり付ける』、『押し付ける』のように、「原因・理由・責任」を転嫁することを表現する際に用いられる動詞にも同じ要素が含まれていることから、明示的ではないにしてもそれらに共通する「~のせいにする」という意味内容が再解釈されたり、強化されたりしているのではないかと考えられます。
現代語の『かこつける』が、もはや「不満に思って、文句を言う」というような意味を持たず、従って『託ける』のように漢字で書かれると今ひとつ語の意味との結び付きが想起しにくいように感じるとすれば、それは、このように『なすり付ける』、『押し付ける』のような類義した意味内容を表す動詞との共通要素『つける』の存在によって、「~のせいにする」の意味が一層強化されたことによるとも考えられないでしょうか。
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