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2010年6月9日水曜日

I was surprised!(3)

以上の2回の解説で、英語のI was surprised.と日本語の『私は驚いた』は相当に意味内容が異なること、更に、それに比べて『私は驚かされた』の方が表現される意味内容という点では近いということが理解頂けたでしょうか。さて、それが理解できたとして、そもそも、「話者があるニュースを見て驚いた」という場合に、『私は驚かされた』という表現を用いるというのはいかがでしょうか。母語話者の皆さん、一人ひとりに検討して頂きたいと思うのですが、それは程度の差こそあれ不自然だと感じる方が少なくないのではないでしょうか。やはり、『そのニュースを見て私は驚かされた』などと言うよりも、『そのニュースを見て私は驚いた』と言った方がよほど自然に聞こえませんか。
 それでは、『私は驚かされた』という表現がもっと自然に使われる文脈と云うのは、一体どんなものなのかを考えて見ましょう。先ず、「驚きの原因」もしくは原因となった「刺激」を表現する『~に』と『~して』という句に照らして考えて見ますと、『~して』という句は、『~に』という比較して『驚かされた』との相性が悪いようです。インターネット検索で検索してみると、『に驚かされた』が9,440,000件見付かるのに対して、『て驚かされた』は813,000例しか見つかりません。

(1) 彼がそう言った(したこと)に私は驚かされた。
(2) (?)彼のその言葉(態度・振る舞い)に私は驚かされた。
(3) ?彼のその言葉を聞いて(その態度・振る舞いを見て)私は驚かされた。

このことは、次のように『驚いた』にした場合の容認度と比べると、一層はっきりします。

(4) 彼がそう言った(したこと)に私は驚いた。
(5) 彼のその言葉(態度・振る舞い)に私は驚いた。
(6) 彼のその言葉を聞いて(その態度・振る舞いを見て)私は驚いた。

これは、『~して』の句が主語の表す登場人物の「力の行使」を表すことと深い関係がありそうです。既に述べたように、『驚いた』は主語の表す主語の表す登場人物の(中に生じる)力の行使を表現するため、『~して』の句と一貫性を保ちやすいと言えます。つまり、「主体が『~して』、『驚いた』となります。それに対して『驚かされた』が用いられると、「主語の表す登場人物が『~して』、何かがそれを驚かした」となり、「力の出所」と「力の及ぶ先」が交替することになります。

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