上で述べたとおり、『私は驚かされた』は『私は驚いた』と対応する自動詞で表現出来るところを、わざわざ『驚かす』という他動的あるいは使役的表現を用い、それを受身にすることで表します。そのため、「使役」が持つ「無理やりそうさせる」、「そうなることを止めない」、「そうするよう促す」のような含意を生じ、「受身」が持つ「迷惑」の意味を喚起して、幅のある解釈を許します。英語のI was surprised.は、1回目の書き込みで指摘したとおり、受身の形式を取っているという点では『私は驚かされた』と類似しています。ですが、surpriseにはそもそも対応する自動詞が存在しないため、I was surprised.は、対応する自動詞表現『私は驚いた』を持つ『私は驚かされた』とは成り立ちが明確に異なります。英語には、「驚く」という意味の自動詞が存在しないのです。
前回、『私は驚かされた』と『私は驚いた』の違いを理解するために例として挙げた『彼は死なされた』に相当する表現なら、英語にも見出すことが出来ます。He was forced/allowed/induced to die.が概ね英語のそれに相当します。ここで用いられているSVX to doという構文ならびにその受身文のX is Ved to doという構文は、いずれも「XがdoするようにVという動作がなされる」という意味を持っています。ですから、「He diesするように誰かの意図あるいは何らかの力が働いた」という意味が込められます。それに対して、He diedのような対応する自動詞表現には、そうした含意は伴いません。
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