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2010年7月22日木曜日

前置詞のtoとwith(1)

compareという動詞は、SVX with YとSVX to Yの構文で用いられて、「XをYと比べる」、「XをYに例える」の意味を表現します。現代の英語では、いずれの構文で用いられた場合も、程度のこそあれ、どちらの意味も表し得るようです。けれども、元来はSVX with Yで「XをYと比べる」、SVX to Yで「XをYに例える」の意味を表現したらしく、現在でもこの区別を意識している話者も少なくはないようです。
 さて、それでは何故「XをYと比べる」にはwithを、「XをYに例える」にはtoを用いてきたのでしょうか。compareという動詞が同じである限りにおいては、SVX with YとSVX to Yのそれぞれの構文で用いられる際の違いは、少なからずこれら二つの前置詞の意味や機能の違いに因ると考えられます。
 これらの構文で用いられるwithやtoを前置詞一般を指すものとしてprep.と置き換えてみると、いずれの構文もSVX prep. Yと一般化することが出来ます。これは、Goldberg (1995) Constructions: A Construction Grammar Approach to Argument Structure (Cognitive Theory of Language and Culture Series)
などでcaused motion constructionと呼ばれる構文に当たり、「S」が力を加えることで「X」が「Y」とprep.の関係に移動することを意味するものとして特徴付けられます。
 この特徴づけに従えば、SVX with YとSVX to Yのそれぞれでは、「S」が力を加えることで「X」が「Y」とwithあるいはtoの関係に移動することを意味することになります。その場合の「withあるいはtoの関係」とは一体どんな関係なのでしょうか。今回は、この点から前置詞のwithとtoの意味を考えてみたいと思います。

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